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膝の一般論

 膝関節は常に体重を支える荷重関節です。そのため、スポーツや交通事故等で怪我をした際にその痛みが出やすく、長引く傾向があります。また、長年体重を支えてきた結果変形が生じやすい関節でもあります。一度変形が進んでしまうと元には戻らないため、早期の診断・治療が重要になってきます。

膝関節の構造

 膝関節は太ももの骨である大腿骨、脛の脛骨、膝のお皿といわれる膝蓋骨の3つの骨が構成しています。各骨と骨の間にはクッションの役割を担う軟骨があり、骨の表面を覆っています。また、特に体重がかかる大腿骨と腓骨の間には半月板といわれる軟骨があり、これもクッションとして役に立っています。それぞれの骨と骨の間には膝を支える靭帯があり、特に前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4つが主に膝の支持に役に立っています。

膝の症状
  • 歩く時にいたい
  • 曲げ伸ばしが痛い
  • 水がたまる
  • 完全に伸ばせない
  • 曲がりが悪く正座ができない

 膝は体重を支える関節であり、歩くときは体重の2~3倍、階段の上り下りでは実に体重の6~7倍を重量を支えてます。そのため、痛みが出やすい関節です。若い人は主に外傷によって痛みが出ることが多く、一方高齢者は長年の負担による膝の変形と膝を支える筋肉の衰えが痛みの原因になることが多くなっています。怪我や負担により膝に炎症が起きると水がたまりやすくなり、また変形が進むにつれて膝の動きも悪くなっていきます。

代表的な疾患

外傷

 膝は交通事故やスポーツで怪我をしやすい場所であり、かつ歩く時に痛みが出やすいため、症状が強く出やすい関節です。打撲や捻挫ならば時間とともに症状は改善することが多くなっていますが、一方で手術が必要になることもあります。手術が必要になる怪我は

①骨折 

折れた骨がくっつかない、くっついても痛みや動きの悪さが残る可能性があるときは手術をします。基本的に入院しての手術になることが多く、手術後もしばらく松葉杖を使うことが普通です。

②靭帯損傷 

特に多いのは前十字靭帯損傷であり、ジャンプして着地した時に膝をひねって痛めることが多くなっています。前十字靭帯を痛めても数週間から一ヶ月くらいで歩行もできるようになり私生活は支障なく遅れるようになりますが、特に運動には支障が出ることが多く、また10~20年をかけて膝が変形していくことが多いため、若い方や運動を続けたい方には手術を勧めます。一方後十字靭帯や内側・外側側副靭帯の損傷は手術をせず経過を見ることが多くなっています。

③半月板損傷 

膝の軟骨の損傷であり、膝をひねったときや年を取って軟骨の柔軟性が失われて傷つきやすくなった結果痛めることがあります。基本的に軟骨は自然には治らず、症状が強いときは手術をすることもあります。特に傷ついた半月板が膝にはまり込んで膝が動かなくなるロッキングを繰り返す人は手術をお勧めします。

④変形性膝関節症 

膝の変形により膝の痛みが出るものです。こちらのページにまとめています。ご確認ください。

⑤骨壊死 

何らかの原因により膝の骨が一部壊死を起こし、変形が生じることがあります。ステロイドという薬を使ったことがある人やアルコールをたくさん飲んできた人に起こりやすいと言われていますが、特に原因もなく起こることもあります。治療は安静で痛みが落ち着くのを待つことが多くなっていますが、痛みが強いときは変形性膝関節症に準じた治療・手術を行うこともあります。

⑥炎症 

膝の筋肉や靭帯が骨に付着している部分は炎症が起こりやすくなっています。具体的には

  • 鵞足炎 
  • 腸脛靭帯炎 
  • 大腿四頭筋腱炎(ジャンパー膝) 
  • 膝蓋靭帯炎

等があります。特に運動を好む人に多く、負担が原因であることが多くなっています。また、リウマチなどの全身疾患から炎症が起こることもあります。

⑦こどもの膝の痛み

子供は運動の機会も多く、大人と違い成長するため、膝の痛みは出やすくなっています。特にオスグッド病といわれるものが多くなっています。膝を伸ばす際に膝下の脛骨に力が加わり、未熟な骨が少しはがれて痛みが出るものです。成長により痛みが落ち着くことがほとんどですが、特に運動時の痛みは続きやすくなっています。

診断

 身体所見を確認の上、レントゲン・CT・MRIなどを行い診断を確定します。それぞれ調べるものが違い、レントゲンやCTは骨、MRIは軟骨や靭帯を調べるために行うことが多くなっています。リウマチを疑う際には採血も行うことがあります。

治療

 正確な診断の上適切な早期治療を行えば症状の改善や手術の回避を見込めます。治療としては以下の項目に分かれます。

薬物療法

 痛み止めの内服、湿布の使用、ヒアルロン酸やステロイド注射で鎮痛を図ります。

理学療法や物理療法

 リハビリテーションにより下肢筋力の向上、歩行能力の改善、消炎鎮痛を目指します。ご希望ならば専門の理学療法士がマンツーマンで指導をします。

装具療法

 膝のブレースや足の足底板を使うことで膝への負担を減らすことができます。

以上に加えて体重コントロールや運動などの生活指導を合わせて行うことで膝の負担を減らし、痛みを少しずつ軽減していくことを目指します。若年者から高年者まで、一人一人に適した治療を行うことが重要になります。

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