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腰の一般論

 腰は体の柱と言える部分であり、背骨・骨盤とその周囲の体を支える筋肉で全身を支えています。よって、腰痛はこの背骨や筋肉の異常により発生します。また、背骨の中に脊髄という神経があり、神経が圧迫されると下肢にしびれや神経痛といった症状がでてきます。

 

腰の構造

 背骨は首から臀部にかけて30個近い骨が連なってできており、そのうち腰の骨は腰椎と呼ばれる5つの骨から構成されています。背骨の中には脊柱管という空洞があり、その中を脊髄という神経が頭から首、腰と走っています。脊髄からはいくつも神経の枝が分かれており、それぞれの神経が体を動かす、感じるといった役割を担っています。腰には主に足に行く神経が存在しています。

脊椎 腰の構造

 

腰の症状
腰痛

 最も多いのは腰痛です。腰痛は筋肉によるもの(例えばぎっくり腰)と骨によるもの(変形や骨折)に分かれますが、骨が変形することで筋肉に余計な負担がかかり腰が痛くなる、とお互い関連していることも多いです。

下肢痛・しびれ

 一般に坐骨神経痛と言われているものです。腰の神経が圧迫されることにより下肢の痛み、しびれが起こります。進行すると筋力低下や麻痺、歩いているとだんだん足がだるくなり休んでしまう、休むと歩けるようになる(間欠性跛行)などの症状が出ることもあります。尿を出すのも腰の神経の役目なので、排尿困難や頻尿になることもあります。

間欠性跛行

 

代表的な疾患
急性腰痛症

 いわゆるぎっくり腰です。立ち上がったり重いものを持った時に突然腰痛が起こるものです。腰の筋肉に急に力が加わって筋肉が痛んだり炎症を起こすことで痛みが出ます。基本的に安静にしていれば徐々に改善していきますが、若い人でも1週間ぐらい動けなくなることがあります。

圧迫骨折

 もともと骨粗鬆症などで骨が弱い人が軽くしりもちをついたり、中にはくしゃみをするだけで腰の骨がつぶれてしまうことがあります。いつの間にか骨折ともいわれており、いつ骨折が起こったかもわからないこともあります。一度潰れてしまった骨は手術をしない限り戻りません。腰の痛みは数週間で骨が固まり改善していくことが多くなっていますが、腰が変形することも相まって腰痛が慢性的になることもあります。骨が弱いままだと別の骨が圧迫骨折を起こす可能性も高くなり、腰痛のため寝たきりになってしまう人もいるため、骨を強くする治療が重要になります。→骨粗鬆症のページへ

腰椎圧迫骨折

 

腰椎椎間板ヘルニア

 腰の骨と骨の間には椎間板という柔らかい部分があります。この椎間板が後方に飛び出し、脊髄神経にぶつかって圧迫するものをヘルニアと言います。交通事故のような強い衝撃によって突然ヘルニアができることもありますが、多くの場合原因は不明です。症状は強い腰痛と下肢のしびれ、痛みです。多くの場合徐々に症状は軽減していきますが、数か月間痛みやしびれに悩まされることが多く、また症状が残ることもあります。神経が強く圧迫され麻痺や排尿困難といった症状がある場合や、あまりに痛みが強く患者が望んだ場合は手術を行います。

腰椎椎間板ヘルニアのMRI画像

 

腰部脊柱管狭窄症

 長年腰に負担がかかってきて腰の骨が変形し、骨の中の神経が圧迫を受ける病気です。腰の骨が前後にずれると腰椎すべり症、横にずれて背骨が曲がると側弯症と言われます。そして骨の変形により神経が圧迫されるものを総じて腰部脊柱管狭窄症といいます。腰痛や下肢のしびれ、痛み、頻尿や排尿障害、先述の間欠性跛行が主な症状になります。症状が強くないときは薬や注射で痛みを落ち着かせつつリハビリを行い経過を見ます。一方で症状が強い時は手術を行うこともあります。

腰部脊柱管狭窄症

MRI画像

 

診断

 詳細な診察の上、検査を行います。

レントゲン

 骨折の評価、変形の程度の確認を行います。 

CT

 レントゲンよりもより3次元的に骨の構造や骨折の評価が可能です。

MRI

 レントゲンやCTには神経は写りません。神経の圧迫やヘルニアの有無の確認にはMRIが必要になります。

 

治療

 多くの腰痛は安静の上痛み止めや湿布を使うことで徐々に改善します。痛みが強い時は合わせて注射を行うこともあります。腰の安静や支持のためにコルセットを使うことも多くなっています。可能であれば腰痛の再発予防としてリハビリテーションを合わせて行うことをお勧めしています。当院では入院、外来でのリハビリが可能であり、急な腰痛による歩行困難で入院になった方もリハビリの末元気に歩いて帰宅する人も多いです。

 一方で症状が強い、変形が強く保存療法での改善が見込めないときは手術を考えますが、1~2週間の入院が必要、麻酔のリスク、症状が完全になくなることは少ないなど欠点もあるため、慎重に治療方法を選択していく必要があります。

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