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肘の一般論

 肘は物を持ち上げるときに動かす、日常生活でとてもよく使う関節です。そのため負担がかかりやすい関節であり、また運動や転倒時に痛めやすい関節でもあります。

 

肘の構造

 肘は上腕骨、橈骨、尺骨の3つの骨で構成されています。上腕骨は肩から肘までの骨であり、また肘から手首には橈骨と尺骨の2本の骨が存在しています。肘の曲げ伸ばしを安定して行うために、肘の周りには多くの筋肉や靱帯が存在しています。また、手首や指を動かす筋肉や神経の多くも肘に存在しており、肘の不調により手首や手に症状が出ることもあります。

肩から手の骨

肘から手までの筋肉

 

 

肘の症状

 曲げ伸ばしの時や物を持った時の痛みや違和感、動かせる範囲が狭くなるといった症状があります。また、肘周囲の神経の影響により手のしびれや麻痺などが出ることもあります。

 

代表的な疾患
骨折

 肘は転倒したときに地面にぶつけやすいため骨折をしやすい関節です。また、転んで手をついたときに肘が骨折することもあります。最近は高齢者の骨折も多く、骨折の程度によっては手術が必要になることもあります。

 

上腕骨外側上顆炎/内側上顆炎

 肘の外側には手首を持ち上げたり、指を伸ばす筋肉が存在しています。手や手首を酷使することにより肘の外側が痛くなることがあり、これを上腕骨外側上顆炎と言います。特にテニスをやる人に多いため、テニス肘という別称があります。最近はパソコン作業などで痛くなる人も多いようです。使い過ぎによる炎症であるため、治療としては安静と生活動作の改善をしつつ落ち着くのを待ちますが、数か月から半年以上も痛みが続く人もいます。痛みが強い時はリハビリで痛みを落ち着かせたり、肘に巻いて痛みを軽減させる装具を使うこともあります。本当につらい人は手術という選択もありますが、プロのテニスプレイヤー以外で手術を受ける方は少ないと思います。一方で内側が痛くなることもあり、上腕骨内側上顆炎、通称ゴルフ肘と言われています。酷使による炎症であり、治療も同様です。

 

肘部管症候群

 肘の内側に尺骨神経という、机の角に肘をぶつけてしびれる原因となる神経が存在しています。この神経が何らかの原因により圧迫を受けたり、引っ張られたりするものが肘部管症候群です。肘の酷使により肘が変形して起こることもあれば、子供のころに肘を骨折して変形し、何十年もたった後に神経が引っ張られて起こることもあります。症状は小指、薬指を中心としたしびれであり、進行すると手が痩せてくる、指の力が入りにくくなるといった症状が出てきます。早期ならば安静、薬、リハビリで改善することもありますが、手術が必要となることもあります。

 

野球肘

 少年野球をしている子供が投球時に肘を痛がると疑います。子供は骨や筋肉、靱帯が未熟であるため、投球時の肘への負担により骨がはがれたり、壊れたりすることがあります。治療は早期発見できれば、投球制限もしくは禁止・安静にすることで肘が修復されるため、スポーツ復帰ができることが多くなっています。また、再発防止に正しい投球フォームを身につけさせてあげることも重要です。一方で対応が遅れ変形が強くなった時は手術が必要になることもあります。

 

肘内障

 5歳以下の子供が突然肘を痛がり動かさなくなった時はこれを疑います。子供の肘は未熟なため、肘の筋肉や靱帯が関節にはまり込んでしまうことがあります。急に手を引っ張られて起こることが多くなっていますが、遊んでいて突然起こることもあります。病院で処置をすると殆どの場合すぐ改善します。

 

画像診断

 レントゲンやCTでは骨の変形や骨折・脱臼の有無を確認することができます。また、MRIでより詳細に診断することができます。

 

治療
薬による治療

 痛みを落ち着かせるために痛み止めの内服や湿布を使っていきます。また、症状が強い人には注射をすることもあります。

物理療法

 肘を温め、電気をかけて刺激を与えることで血行を改善、治癒を促します。

リハビリテーション

 痛みがあり長い間動かさないと肘は固くなります。一度固くなった肘を再び満足に動かせるようになるにはリハビリが重要になっています。

 

 肘の痛みの原因は長年の手や手首の酷使によるものが多く、かつ症状は長続きしやすいため、リハビリを含めた加療が長丁場になることが多くなっています。根気よく治療を続けていくことが重要なので、一緒に頑張っていきましょう。

 

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