メニュー

高齢者・緩和医療

高齢者医療

当院では地域のご高齢の方の健康の増進と、毎日の生活の質の向上を図ることを目的に医療を提供させていただきたいと考えています。高齢期を迎えた方の大きな特徴として、食べること、歩くことなど基本的な日常の動作に影響を与えるいろいろな健康の不調がみられてくるということです。これらは特定の原因によらないものも多くあります。糖尿病や骨粗鬆症などいくつもの疾患を抱えている高齢の患者さまも多く、成人の方向けの専門分化された診療では十分な判断や治療ができないことがあるため、原因が特定できないお身体の不調に対しては、患者さまの全体像から判断し、身体的側面だけでなく、心理的側面、社会的側面にも目配りした、患者さまを全人的に診る医療に取り組んでいます。これはまさに当法人の理念である全人的医療及び介護そのものです。入院が必要なのか、在宅や施設から通院してもらい治療を継続する方がよいのか、または高度医療の対象となり受け入れ先の病院を探していくのが良いのかなどを患者さまおよびご家族さまと一緒に考えていきます。患者さまとご家族さまのご意向と、患者さまの全身状態を踏まえて今後の治療方針を一緒に検討いたします。

 

介護施設に入所されている方

施設入所されている方には、早めのご受診をご提案します。体調変化初期に受診していただき、施設に帰ってから必要な処置を行うことによって、入院対応や、受診後の状態悪化を防ぐことができることがあります。高齢者の方のさまざまな兆候を診察しておりますので、状態が変化した際は、当院を受診していただき、初期医療を行います。診察の結果、必要な場合には入院や、専門医療機関への紹介などをさせていただきます。

 

緩和医療

世の中の流れは、高齢で病気になり、身体の機能が落ちてきても「なるべく住み慣れた環境で最期まで」という方向に流れてきています。しかし病気がもたらす苦痛が悪化したり、一度落ち着いた病気が再び悪化したりすることで、結局自宅や住み慣れた施設での生活を断念されてしまうことが現実にはほとんどです。

入院が必要な状況となった場合でも、医師よりその旨はご説明しますが、積極的な医療介入は延命治療の一環としてとらえて望まれず、自宅や施設で最期を迎えたいという選択をされた方には、ご通院が可能な間は誠心誠意サポートさせていただき、いよいよご通院が難しくなった際には、往診医や看護師などに、必要な情報をご提供し、サポートさせていただきます。また、当院でのご入院にて終末期の療養をご希望される方には、心身への負担が大きい積極的医療介入や延命治療ではなく、苦痛の緩和に最大限の努力をさせていただき、穏やかに過ごせる日を少しでも多く持っていただけるよう努めて参ります。また、入院を選ばれるのであれ、通院を選ばれるのであれ、患者さまが終末期をどのような人生で過ごしたいかを決めていただくにあたり、健康状態がこの先どのようになっていくかというご不安に対しても、経過の途中で起こり得る問題点を予測し、その対応を一緒に考えていきます。身体的な痛みを和らげることも緩和医療ですが、こうした病気の経過に伴う不安を軽減することも緩和医療だと当院は考えています。

 

高齢者が罹患しやすい病気

  • 誤嚥性肺炎
  • 尿路感染症
  • 廃用症候群

誤嚥性肺炎とは

誤嚥性肺炎は、飲み込む能力の低下(嚥下機能障害)のため唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸入してしまうことにより発症します。嚥下機能の低下した高齢者や寝たきりの患者さまなどに多く発生します。高齢者や寝たきりの方は口腔内の清潔が十分に保たれていないこともあり、この場合、口腔内で肺炎の原因となる細菌がより多く増殖してしまいます。肺炎球菌や口腔内の常在菌である嫌気性菌が原因菌とされます。発熱、咳、膿のような痰が典型的な症状ですが、高齢者の患者さまの場合、これらの症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロとなる、などの非特異的な症状のみがみられることが多いのが誤嚥性肺炎の特徴です。慢性的に繰り返し発症する場合もあるので、予後不良で命を落とされる場合も少なくなく、国内の死因の非常に上位を占めているのが現実です。寝たきりの方の食事を介助される方は、患者さまの食事の際に十分に上体を起こし、ゆっくりと咀嚼・嚥下するよう注意することが大切です。また、喫煙で気道粘膜の浄化が抑制され、細菌が付着しやすくなるとされるため禁煙をすることが非常に重要です。

当院では、抗菌薬を用いた治療を基本とし、呼吸状態や全身状態が芳しくない場合は入院して治療を行います。口腔ケアの徹底を同時に図っていきます。

 

尿路感染症とは

尿路感染症は、尿の通り道である尿路に細菌が住み着き、増殖して炎症を起こすことで発症します。原因となる菌は大腸菌や、尿の出口付近に常に住み着いている細菌です。尿路は尿道だけでなく、膀胱、前立腺、腎臓までをも含みます。炎症を起こした場所によって病名が変わり、症状も変わってきますが、排尿する時の痛み、排尿後も膀胱に尿が残っている感じがする、尿が近い、尿が濁る、尿に血が混じる、発熱、背中辺りが痛むなどさまざまな症状を呈します。尿路感染症はどの年齢でも発症しますが、特に高齢者が発熱を起こす原因の主なもののひとつとして、肺炎と並んで非常に多くみられます。また、高齢者や寝たきりの方などで、尿道カテーテルを留置している場合、カテーテルを伝って病原菌が侵入し、尿路感染症を発症するケースが非常に多くみられています。尿路感染症は、重症化すると生命に危険が及ぶことが非常に多い病気です。

当院では、抗菌薬を用いた治療を基本とし、全身状態が芳しくない場合は入院して治療を行います。
尿路感染症は再発しやすいため、予防するためには、陰部を清潔に保つことと、水分を十分に摂取してこまめに排尿することが重要です。

 

廃用症候群とは

廃用症候群は、生活不活発病とも呼ばれ、身体を動かせないことにより、筋肉や骨、肺や心臓など呼吸や血液循環機能、そして精神や神経などで機能低下が起こり、日常生活の自立度が低下した状態のことです。筋力は、立ったり座ったり身の回りの動作のなかで、多くの筋肉を使用することで維持されていますが、身体を動かす機会が少なくなってくると機能低下が始まります。廃用症候群は長期臥床が原因となりますが、実際に高齢者では2日~1週間くらいで生じることが多く、理論的な低下スピードよりも、想像以上に早い段階で出現しているのが現実です。同様に、心肺機能や精神機能(理解力や判断力など)も著しく低下していきます。ですので転倒骨折したり、熱が出て数日入院したりなどをきっかけに、今まで元気で何ともなかったのに、急に寝たきりや車椅子になってしまった、食べられなくなってしまった、または認知症が始まってしまったなどという状況をみてご家族さまが非常に動揺され、そのような現実を受け止めきれないケースが多いことも事実です。
廃用症候群の場合にみなさまにお伝えしなければならないことは、リハビリをして元に戻すというご家族さまのご希望に沿うことは難しいことが非常に多いということです。一番身近にいるご家族さまがまず患者ご本人さまの実際の状況をしっかり把握されることが大事なことだと考えております。そのうえで、できる限り今後の機能低下のスピードを緩和できるようリハビリテーションを含めた治療を続けていくことを一緒に考えていきます。当然ながら、機能の改善の兆候が見られた場合には、改善の度合いに合わせて患者さまに適切な介護サービスの導入などもご提案させていただいております。

当院では、療養目的でご入院されている患者さまにつきましても、リハビリテーションの導入を実践しております。

 

 

 

困ったときにお読みください。

高齢者医療・緩和医療Q&A(よくある質問)

緩和ケアとはなんですか?

末期のがん等の病気に伴う身体的な苦痛や心の問題に対処していく治療を緩和ケアといいます。
緩和ケアは患者さまの尊厳を損なうほどの心身への負担が大きい医療の介入は終わらせ、その代わり悩ましい痛みや息苦しさ、精神的な苦痛を軽減し、残された人生を最期までその人らしい感受性を保ち日々の生活が送れるようにサポートしていく医療です。

医師より緩和ケアの話が出ましたが、緩和ケアに関わるスタッフは、どのようなスタッフがいますか。

医師や看護師・看護助手の他に、薬剤師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師、放射線技師、管理栄養士などさまざまな職員がいて、チーム医療を実践しています。

年齢的に積極的な治療は望んでいません。なるべく苦痛がなく穏やかに過ごせるようにしていただけますか?

当院では患者さま本人の尊厳の保持と苦痛軽減のために無理な延命治療はおこなっておりません。
必要に応じて麻薬の管理などを行いながら、苦痛の緩和に努めさせていただきます。

物忘れが多いのですが、認知症の疑いはありますか?

他人から指摘されればもちろんですが、自覚的にも"物忘れでは?"と感じた場合は、なるべく早く受診されることをお勧めします。
もちろん認知症でないこともありますが、早期に発見できれば認知症であっても進行を遅くすることは可能です。

物忘れと認知症の境界線とは?

正常に日常生活を送ることができる状態と、認知症の間の境界にある状態を表す言葉に、軽度認知障害があります。
認知症は、通常物忘れから始まることが多く、判断能力や言語機能、目標や計画を立て実行し、調節、修正しながら完結する機能などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を言いますが、軽度認知障害は記憶力が低下しても、日常生活にはほとんど支障をきたさない程度の段階で、自立して生活できる状態です。

物忘れの進行を遅らせるには、日々どのような生活を心がけるといいですか?

物忘れの進行を遅くするためには薬物療法と非薬物療法の併用が欠かせません。
物忘れの原因疾患に対して適切な薬を使ってゆくことが薬物療法で、また非薬物療法としては、理学療法(筋力強化、バランス訓練、関節可動域訓練)、作業療法(家事・家庭内役割作業、手工芸・工作)、レクレーション療法、園芸療法、演芸療法、社会心理療法、ダンス、散歩、各種体操(ラジオ体操、リズム体操、民謡体操、ストレッチ体操)などがあります。
また環境の整備、介護者への食生活指導・教育なども含まれ、これらを地域の支援を受けながら継続してゆくことが重要と考えられています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME